第13

章3-第13

 

聴:

 

 

天に昇りそこねた亀たち

 

むかしむかし、ある池に、たくさんの亀が住んでいました。

 ある日の事、亀の大将が言いました。
「何でも竜は、海に千年、川に千年住むと天に昇るそうだ。このわしは、この池に三千年も住んでおるから、もうそろそろ天に昇ってもよいのではないかな」
 そして亀の大将が天に昇ろうとしたので、それを見ていた息子の亀が言いました。
「それなら、わたしも一緒に連れて行って下さい」
 すると、その息子の嫁の亀も、
「あなたが天に昇られるのなら、わたしも連れて行って下さいませ」
と、頼んだのです。
 そうして次から次へ、孫亀も、ひ孫亀も、みんなみんな、
「わたしも、連れて行って下さいませ」
と、頼んだのです。
 そこで、亀の大将は、
「よしよし、それなら、みんな一緒に連れて行ってやろう。だが、いくらわしでもみんなを抱える事は出来んから、みんな順々に前の者の尻尾をくわえるといい」
と、言って、自分のしっぽを息子にくわえさせて天に昇り始めました。
 そして息子の尻尾を嫁が、嫁の尻尾を孫がと、その後に何千匹、何万匹の亀が、順番に前の亀の尻尾をくわえて、だんだんと天に昇って行ったのです。
 ところが、間もなく天に着くというところで、亀の大将が後ろを振り向いて、
「おーい、みんな、無事について来ておるか?」
と、尋ねたのです。
 するとそれを聞いた亀たちが、
「はい」
「はい」
「はい」
「はい」・・・・・・。
と、みんな返事をしたので、くわえていた尻尾をはなしてしまい、みんなあっという間に元の池の中に落ちてしまったのでした。


 

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

 

天に昇りそこねた亀たち

 

むかしむかし、ある池いけに、たくさんの亀かめが住すんでいました。
 ある
日ひの事こと、亀かめの大将たいしょうが言いいました。
「
何なにでも竜りゅうは、海うみに千せん年ねん、川かわに千せん年ねん住すむと天てんに昇のぼるそうだ。このわしは、この池いけに三さん千せん年ねんも住すんでおるから、もうそろそろ天てんに昇のぼってもよいのではないかな」
 そして
亀かめの大将たいしょうが天てんに昇のぼろうとしたので、それを見みていた息子むすこの亀かめが言いいました。
「それなら、わたしも
一緒いっしょに連つれて行いって下ください」
 すると、その
息子むすこの嫁よめの亀かめも、
「あなたが
天てんに昇のぼられるのなら、わたしも連つれて行いって下くださいませ」
と、
頼たのんだのです。
 そうして
次つぎから次つぎへ、孫まご亀かめも、ひ孫まご亀かめも、みんなみんな、
「わたしも、
連つれて行いって下くださいませ」
と、
頼たのんだのです。
 そこで、
亀かめの大将たいしょうは、
「よしよし、それなら、みんな
一緒いっしょに連つれて行いってやろう。だが、いくらわしでもみんなを抱かかえる事ことは出来できんから、みんな順々じゅんじゅんに前まえの者ものの尻尾しっぽをくわえるといい」
と、
言いって、自分じぶんのしっぽを息子むすこにくわえさせて天てんに昇のぼり始はじめました。
 そして
息子むすこの尻尾しっぽを嫁よめが、嫁よめの尻尾しっぽを孫まごがと、その後ごに何なん千せん匹ひき、何なん万まん匹ひきの亀かめが、順番じゅんばんに前まえの亀かめの尻尾しっぽをくわえて、だんだんと天てんに昇のぼって行いったのです。
 ところが、
間まもなく天てんに着つくというところで、亀かめの大将たいしょうが後うしろを振ふり向むいて、
「おーい、みんな、
無事ぶじについて来きておるか?」
と、
尋たずねたのです。
 するとそれを
聞きいた亀かめたちが、
「はい」
「はい」
「はい」
「はい」・・・・・・。
と、みんな
返事へんじをしたので、くわえていた尻尾しっぽをはなしてしまい、みんなあっという間まに元もとの池いけの中なかに落おちてしまったのでした。

 

おしまい

 
 

 
 
 
 
 
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