第3

章2-第3

 

聴:

 

 

黄門さまのイジワル

 

むかしむかし、あるところに、とても貧乏な夫婦がいました。
 夫婦は毎日毎日、一生懸命働くのですが、どう頑張っても貧乏から抜け出す事が出来ません。

 ある節分の日の事。
 節分の豆まきをしようと思った夫婦は、
「どうせ福を呼んでも、わしらには福は来ないのだから、今年はいっその事、鬼を招いてみようではないか」
「そうですね。来ない福を呼んでも、仕方ありませんからね」
と、話し合って、こんな豆まきをしました。
♪鬼は~内、福は~外
♪鬼は~内、福は~外

 さて、その夜の事です。
 ドンドン!
 ドンドン!
 誰かが家の戸を叩くので夫婦が戸を開けてみると、何と家の外には赤鬼と青鬼が立っていたのです。
 鬼たちは、ニッコリ笑って言いました。
「どうも、こんばんは。『鬼は~内』と、わしらを呼んでくれたのは、お前さんたちか?」
 夫婦はびっくりして腰を抜かしそうになりましたが、ニコニコ笑っている鬼たちを見て気持ちを落ち着かせると、
「はい。確かに『鬼は~内』と豆まきをしました」
と、答えました。
「そうかそうか。
 知っての通り今日は節分で、わしらはどこへ行っても豆を投げつけられて大変だった。
 ところがうれしい事に、お前さんたちは『鬼は~内』と呼んでくれた。
 それで、ここへ逃げて来たんだ。
 ・・・他にも仲間がいるのだが、入ってもいいか?」
「はっ、はい。どうぞどうぞ。大したおかまいも出来ませんが」
 夫婦は鬼たちを家に入れると、とっておきのお酒や料理で鬼たちをもてなしました。

 さて、そのうちに朝が来て、隣の家の一番鳥が、
 コケコッコー!
と、鳴きました。
 それを聞いた鬼たちは、びっくりした顔で朝日を見ると、
「いかん! もうこんな時間になってしもうた。では、世話になりました」
と、慌てて帰って行きましたが、あんまり慌てていた為か、大事な鬼の金棒を忘れて行ったのです。
「あれ。あの鬼たち、金棒を忘れて行きおった」
「あら、本当に。でもまあ、そのうち取りに来るでしょう」
 夫婦は鬼がいつ金棒を取りに来てもいいようにと、金棒を大切にしまっていましたが、いつまでたっても鬼たちは金棒を取りに来ませんでした。

 さて、その話が評判になって、夫婦の家にはあちらこちらから鬼の金棒を見に来る人たちがやって来ました。
 そこで夫婦は、やって来る人たちにお茶や団子を売ったので、夫婦はやがて村一番のお金持ちになったのです。

 もしかすると鬼たちは、わざと金棒を置いていったのかもしれませんね。

 

おしまい

 

ふりがな

 

聴: 

 

 

黄門さまのイジワル

むかしむかし、あるところに、とても貧乏びんぼうな夫婦ふうふがいました。
 
夫婦ふうふは毎日まいにち毎日まいにち、一生懸命いっしょうけんめい働はたらくのですが、どう頑張がんばっても貧乏びんぼうから抜ぬけ出だす事ことが出来できません。

 ある
節分せつぶんの日ひの事こと。
 
節分せつぶんの豆まめまきをしようと思おもった夫婦ふうふは、
「どうせ
福ぶくを呼よんでも、わしらには福ぶくは来こないのだから、今年ことしはいっその事こと、鬼おにを招まねいてみようではないか」
「そうですね。
来こない福ぶくを呼よんでも、仕方しかたありませんからね」
と、
話はなし合あって、こんな豆まめまきをしました。
♪
鬼おには~内ない、福ぶくは~外がい
♪鬼おには~内ない、福ぶくは~外がい

 さて、その夜よるの事ことです。
 ドンドン!
 ドンドン!
 
誰だれかが家いえの戸とを叩たたくので夫婦ふうふが戸とを開あけてみると、何なんと家いえの外そとには赤あか鬼おにと青あお鬼おにが立たっていたのです。
 
鬼おにたちは、ニッコリ笑わらって言いいました。
「どうも、こんばんは。『
鬼おには~内ない』と、わしらを呼よんでくれたのは、お前まえさんたちか?」
 
夫婦ふうふはびっくりして腰こしを抜ぬかしそうになりましたが、ニコニコ笑わらっている鬼おにたちを見みて気持きもちを落おち着つかせると、
「はい。
確たしかに『鬼おには~内ない』と豆まめまきをしました」
と、
答こたえました。
「そうかそうか。
 
知しっての通とおり今日きょうは節分せつぶんで、わしらはどこへ行いっても豆まめを投なげつけられて大変たいへんだった。
 ところがうれしい
事ことに、お前まえさんたちは『鬼おには~内ない』と呼よんでくれた。
 それで、ここへ
逃にげて来きたんだ。
 ・・・
他たにも仲間なかまがいるのだが、入はいってもいいか?」
「はっ、はい。どうぞどうぞ。
大たいしたおかまいも出来できませんが」
 
夫婦ふうふは鬼おにたちを家いえに入いれると、とっておきのお酒さけや料理りょうりで鬼おにたちをもてなしました。

 さて、そのうちに
朝あさが来きて、隣となりの家いえの一番いちばん鳥とりが、
 コケコッコー!
と、
鳴なきました。
 それを
聞きいた鬼おにたちは、びっくりした顔かおで朝日あさひを見みると、
「いかん! もうこんな
時間じかんになってしもうた。では、世話せわになりました」
と、
慌あわてて帰かえって行いきましたが、あんまり慌あわてていた為ためか、大事だいじな鬼おにの金棒かなぼうを忘わすれて行いったのです。
「あれ。あの
鬼おにたち、金棒かなぼうを忘わすれて行いきおった」
「あら、
本当ほんとうに。でもまあ、そのうち取とりに来くるでしょう」
 
夫婦ふうふは鬼おにがいつ金棒かなぼうを取とりに来きてもいいようにと、金棒かなぼうを大切たいせつにしまっていましたが、いつまでたっても鬼おにたちは金棒かなぼうを取とりに来きませんでした。

 さて、その
話はなしが評判ひょうばんになって、夫婦ふうふの家いえにはあちらこちらから鬼おにの金棒かなぼうを見みに来くる人ひとたちがやって来きました。
 そこで
夫婦ふうふは、やって来くる人ひとたちにお茶ちゃや団子だんごを売うったので、夫婦ふうふはやがて村むら一番いちばんのお金持かねもちになったのです。

 もしかすると
鬼おにたちは、わざと金棒かなぼうを置おいていったのかもしれませんね。

 

おしまい

 
 
 
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